毎日の職場にセンスオブワンダー

外資系企業で働く女子の気づきをつらつらと書きます。

Grandfathered

既得権益というのは誰しもが守りたい、手放したくないもの。

政治の世界でも各産業の団体がXX政党を推すのは、規制で守られている権利を変えてほしくないとか今までの慣行を保持したいためで、票が欲しい政党は改革が推し進められないという大人の事情になってしまうようです。

会社組織では、労働組合があるような大きな組織については私はあまり経験が無いのでわからないですが、4月の昇給の季節になるとベアの問題で労使間の協議があるように、何かと社員側に不利益にならないように活動をするチームがあります。労働組合が無い場合でも、労働法や規程の範囲内で適宜昇給等が行われます。

大きな各種の規程の改訂については、社員のそれまでの権利が大きく不利益にならないようにしなければならないとされています。例えば、企業年金制度の改訂、休暇・勤務時間の変更などがそれにあたります。

企業年金制度改定については、終身雇用が当たり前だった古い制度から、転職も特別なことではなくなった、且つ給付を約束するものではないではなく拠出を約束する今の制度への改定時に大問題となった既得権益問題があります。日本版401Kという言葉を聞いたことがあると思いますが、企業は毎月の拠出は約束するが、運用は各社員が選択肢の中から選んで運用できるという確定拠出に切り替えになった時のことです。

多くの会社の古い制度では、退職金(企業年金を一時金で一括でもらうもの)の計算は退職時の基本給にXXX倍をするという規定だったと思いますが、定年退職の時にその係数が急カーブで増えるような計算式になっていました。それに対して、最近のものは、年数に応じて係数は同じとしています。

今の会社でも改訂済みです。その時は以前の企業年金制度の権利をGrandfathered(既得権益)として、不公平感が無いように残しながら新しい規程にして、社員にも会社にもどちらも大きく損も得もしないように、コンサル(とても難しい試験を合格した保険数理士が計算した資料を使う。費用はとても高い!)が入って制度を新しくしたものが今の制度です。

grandfatherという単語を辞書で調べると、もちろん名詞の祖父もありますが、他動詞で〔ルール・新法令などの〕適用を除外すると書いてあります。それをわかりやすく言うと、既得権益となります。おじいちゃんの時代からの継承で、自分で勝ち取ったものじゃないけど大事な権利だ!という意味合いなのでしょうかね。