毎日の職場にセンスオブワンダー

外資系企業で働く女子の気づきをつらつらと書きます。

売上値引は一番痛い

営業活動をしていると、顧客ごとや個別の案件ごとに値引きの交渉をされることが日常です。

値引の依頼を断るのは大変です。人間というものは嫌われたくない、断られたくない生き物ですし、それなら他から買いますと断られて売上がゼロになるより、いくらかでも売上を上げたい気持ちを相手にも読まれないように、交渉をする必要があります。

この値引きが一番利益にとっては痛いのです。

前の会社で、大口の客先に10%値引きと言われて受けたから、仕入れ先にも10%値引きしてもらおう。と対応策を取り、それが事業部でも当たり前のようにまかり通っていたことがありました。それで親会社にも承認を取ったから、OKだ!と。最初は私も、それは賢い、仕入れ先にその分値引きしてもらえば解決だ!と思っていたのですが、実はそうでは無かったことがありました。

 

下記の例でいうと対応策Aです。対応策Aは合理的なように見えますが、利益率は変わらなくても、利益額は値引額をチャラにできないのです。

値引きした額そのものイコール利益額が減りますので、対応策Aは無いよりはましですが、対応策Bのように減った利益を取り戻すには、その分売上を追加で上げるしかなくなり、その分の売上案件が他にあるのか?となります。

 

        対応策A   対応策B
売値値引率 0% 10%   10%   0%
             
売値 100,000 100,000   100,000   20,000
売値値引 0 10,000   10,000   0
正味の売値 100,000 90,000   90,000   20,000
             
仕入原価 50,000 50,000   50,000   10,000
仕入値引 0 0   5,000   0
正味の仕入 50,000 50,000   45,000   10,000
             
粗利 50,000 40,000   45,000   10,000
粗利率 50% 44%   50%   50%
             
売上減   -10,000   -10,000    
利益減   -10,000   -5,000    

 

値引きは本当に会社の利益に響きます。値引きした分の額は仕入れ先に値引きしてもらえない、また営業経費も削れない。

 

もちろん、ここまで単純ではないのが現実。経営はバランスと言います。値引きが顧客のその時の予算ギリギリに収まって購入担当者も助かって次回の購入にも結び付くことがあるし、やっぱりそれで失注してその案件の売上ゼロよりはましだと判断する等、会社と会社の付き合いは単純では無いです。

 

それでも、値引きは安易にするな!言い続けるのが仕事です。