毎日の職場にセンスオブワンダー

外資系企業で働く女子の気づきをつらつらと書きます。

外国為替レートの影響で変わる売上分析

日本の企業ですので、売上から利益まで全部帳簿は円で計上されます。
但し連結上の通貨は親会社のアメリカに合わせてアメリカドルですので、日本円から米国ドルに換算されます。
その際、本社から指示があった、その月の平均為替レートでドル換算することになっています。もちろん為替レートは刻一刻と変わっていますが、ある一定の時間で毎日のレートが決まり、それを1か月平均したものを平均レートとして売上と経費のドル換算に使うと決めているのです。

その際、内部的に毎年の売上の成長率を分析するときの為替の取り扱いには2種類あります。


1つ目は、当年度の予算レートをあらかじめ決めてそれを過去の年度にも適用させて過去のドルベースの売上を出して、比較。
2つ目は、各年のドルベースの売上は毎月のドルの合算を実績として固定し、過去のドルベースの売上は固定化させる。


例)

日本円の売上 Y2015 Y2016 Y2017 Y2018 Y2019 Y2020
Sales JPY 1,000 1,050 1,100 1,080 1,300 1,200
Growth %   5.0% 4.8% -1.8% 20.4% -7.7%
             
FXは固定パターン 106 106 106 106 106 106
  Y2015 Y2016 Y2017 Y2018 Y2019 Y2020
Sales USD 9.4 9.9 10.4 10.2 12.3 11.3
Growth %   5.0% 4.8% -1.8% 20.4% -7.7%
             
             
FXが変動するパターン 111 108 107 105 110 106
  Y2015 Y2016 Y2017 Y2018 Y2019 Y2020
Sales USD 9.0 9.7 10.3 10.3 11.8 11.3
Growth %   7.9% 5.7% 0.1% 14.9% -4.2%
FX impact -0.4 -0.2 -0.1 0.1 -0.4 0.0


1つ目は、子会社にとって便利です。円ベースでの売上分析とドルベースの売上分析に違いが出ないです。ただ、毎年予算レートが変わるので、その都度過去の売上を洗替する作業が生じます。本社は別途為替の影響の差を分析してくれます。

2つ目は、親会社にとって便利です。いつも過去の売上は固定されてその分析を子会社に求めればいいのです。子会社は円ベースの売上で分析して、その差を為替の差として再分析が2段階になります。子会社は過去の売上を洗替える必要が無いのでその分は手間が省けますが、いつも2段階の分析をすることになります。

 

どちらもあくまでも管理会計、内部的な分析のための方法で、最終的な連結されるドルの売上は同じです。どちらも良い面があります。今の会社は1つ目方式です。前の会社は2つ目でした。ドルの考え方しかないアメリカ人が分析担当だと、為替の変動影響をイチイチ説明するのが、本当に面倒だったことを覚えています。