毎日の職場にセンスオブワンダー

外資系企業で働く女子の気づきをつらつらと書きます。

従業員の給料がそれほど上がらない訳

貸借対照表を見た瞬間、資本家にはかなわない。と思った。

数ある記憶に残っているサラリーマン諸先輩の名言の一つです。そのお方はサラリーマンとしては若い時から外資系会社で手腕を発揮して社長まで昇り詰めたお方です。社長と言っても出資者ではなく、あくまでも雇われ経営者です。

「会社は売上も利益も増えているんだから、もっと給料を増やすべきだ!」と言って自分の収入の少なさ(世間の相場と比較して本当に少ないわけではない)を愚痴を言うサラリーマンがいますが、株式会社はあくまでも出資者の出資金を元手に事業をして、株主に配当や株価の上昇という見返りを返還するというしくみです。

会計の仕組み・算数的に言うと、売上から原価や経費を引いたものが利益で、そこから税金を引いた税引後利益(損益計算書)が株主持ち分に還元される(貸借対照表の資本の部)ことになります。サラリーマンの給料も賞与も事務所家賃もすべて経費の一部に過ぎない。株式会社は株主還元を増やすことを目的としているため、サラリーマンの給与は頑張れば頑張っただけ増えるものではないという仕組みになっているわけです。言い換えれば、従業員の給与をケチれば最終的に税引後利益・株主還元が増えるというトレードオフの関係にあるのです。もちろん、必要以上に給料をケチったり目先の利益のために法令違反をすれば、中長期的に会社の経営がうまく行かなくなるので、やる気キープするように給与を増やしたり、且つ必要な法令順守をするのも経費の一部ととらえて経営をするのが雇われ経営者の職責で、その経営手腕で報酬を得ているわけです。

冒頭の一言を最初聞いた時に、株式会社は株主のものと漠然とは思っていましたが、それを自分の給料が先々頭打ちになることを会計上の仕組みで分かったというのがその先輩のすごいところだなーと思ったエピソードです。が、もちろんその先輩の目指すところが非常に高い(欲が強い!?)からそんなことに気が付いたのだと思います。最初からサラリーマンなんかそんなものと思っている私は、そんな目線で貸借対照表を見ることは無かったと思います。

何事も本質を瞬時にとらえる習慣は、見習いたいといつも思っています。