毎日の職場にセンスオブワンダー

外資系企業で働く女子の気づきをつらつらと書きます。

賃貸物件の内装・改装は資産か負債か

米国本社の不動産担当に契約書の内容の説明をするときに苦労する内容の一つが、契約満了時に退去するときの原状回復(Restoration)義務項目です。

日本では、物件の建築されたときのままの状態が大家の持ち物で、そこに賃借人が使いやすいように手を加えた場合、退去時はそのすべて撤去して元の状態に戻すのが通例となっています。

それを米国人が見ると、内装にお金をかけて使いやすくしているんだから、それは物件の付加価値を上げているのに、なぜお金を払ってそれを撤去する義務があるんだ?と質問してきます。それは慣習の違いですね。

日本:今の賃借人が退去時に現状回復義務を負う。
米国:今の賃借人はそのまま退去、次の賃借人がそれを自分が使いやすいようにする。撤去したければ撤去するし、使いたければ使う。その部分は次の賃借人が負担する。

飲食店が退去した時にそのままになっているのがガラス越しに見えて、次の飲食店が居抜きで借りて改装して開店するのがわかるときがありますが、そのパターンに似ていますね。資源の無駄遣いにもなるし、米国式のほうが良いような気もします。

 

以前ですが、会社の事務所移転の際に不動産会社から紹介された物件の中に、工事完了間際に日本から撤退になった外資系の会社がそのままで退去(多分原状回復費用は払って退去したと思いますが)したので、今のままの内装で良ければ、賃料お安く貸せます。という物件がありました。かなりゴージャスな内装でしたけど、、、その時の会社の使い勝手に合わなかったし、安くされても月々の賃料が高かったので借りませんでしたが、そういう話を考えれば確かに大家の資産になっていると思います。

不動産会社に聞いてみると、前の賃借人の工事内容を大家は把握しきれないし、思わぬ欠陥や、工事内容によって事故が発生する場合もあるので、ますます原状回復義務について厳しく求めるような傾向があるとのことでした。