毎日の職場にセンスオブワンダー

外資系企業で働く女子の気づきをつらつらと書きます。

数字のあや・ふしぎ 3

数字の不思議とはロジックの不思議。外山滋比古さんのある本を読んでいたらこんなネタにたどりつきました。

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内田百閒の「特別阿房列車」という小説にこんな話が出てきます。

往年の名列車「はと」で東京~大阪を往復する話なのですがその帰り道、同行者の山系君が言うには
「三人で宿屋へ泊まって支払いが30円だったので一人10円づつ出して帳場へ持っていかせた」
「帳場ではサービスで5円まけてくれ、女中に5円、三人のところへ返しに行かせた」
「女中は途中で2円ごまかして3円だけ返しにきた」
「その3円を三人で分けたので一人1円づつ払い戻しがあった」
「すると一人当たりの負担は9円となる」
「9円×三人で27円、女中がごまかした2円を合計すると29円」
「最初に出したお金は30円。1円足りないじゃありませんか」

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考え込みました。確かにこんな算数はやってしまいます。私は割り勘の計算でこんな感じの考え違いをしてしまったことがあります。

お酒を飲む量が私より少ない友達と2人で食事に行ったときに、友達は最初のビール1杯のみ。私はその後2杯お替りしてビール3杯飲んだとします。合計で飲食代金が6000円だった時に割り勘で払うとすると3000円だけど、私が1杯300円のビールを2杯多く飲んだから600円多く払うね。と言って、3600円を渡して、ほろ酔い気分でその場で別れた帰り道。

私が3600円で、友達は2400円ってことは1200円も多く払ったということ??あれ???と帰りの電車で、なんで成り行きで私が友達より多く払っていることになってるんだ??と悶々としたことがあります。

自分が多くすると、同時に友達が少なくなって、その分2倍に差が開いてしまうのですね。正しくは600円の半分(2人で割るから)の300円だけ多く払うってことにすればよかったのです。算数でいうと、(6000円ー600円)÷2=2700円なので、そこに自分が600円足して、3300円払うと友達は2700円で、合計6000円でめでたくきっちり割り勘となります。

さて、最初の旅館の割り勘の問題は、客が29円負担したと考えるべきではなく、本来は30円ー5円=25円で、それを3人で割った8円30銭が一人の負担額なのに、女中が2円ちょろまかしたので、1人9円の負担になってしまっているのです。27円と2円を足すことにはまったく意味がないのです。

結構この問題は現代版で消えたホテル代1000円問題という内容で、ネットにいろいろ出ていました。誰が最初に言いだしたのでしょうか。内田百閒さん?それよりも前に現代の謎解きクリエイターみないな職業の方が昔にもいて考えたのでしょうかね。。。

 

経理の仕事をしていると、単純な計算なはずなのにちょっとした勘違いで間違えてしまうことがあります。この消えた旅館の1円(ホテルの1000円)的なことにならないように、ロジックから考えていないととんでもないことになることがあります。